LibreOffice Calc のプログラミング用アドイン

警告マーク

次に説明する、アドインを使用して Calc を機能強化する方法は古いものです。インタフェースは、既存のアドインとの互換性を確保するため、まだ有効であり、サポートもされていますが新しいアドインをプログラミングするには、新しい API 関数を使用する必要があります。


LibreOffice Calc はアドインで拡張できます。アドインとは、表計算ドキュメント用の関数を追加する外部プログラミングモジュールのことです。アドインは 関数ウィザード の分類項目 アドイン に表示されます。自分でアドインを作成する場合、アドインを正常に組み込むためには、どの関数を からエクスポートする必要があるかを学ぶ必要があります。

LibreOffice は、適切な の設定で定義されている Add-in フォルダーを検索します。LibreOffice で認識されるように、 は、次に説明されているとおり、一定のプロパティを含む必要があります。この情報によって、LibreOffice Calc の 関数ウィザード 向けに独自のアドインをプログラムできます。

アドインのコンセプト

各アドインライブラリには、複数の関数が用意されています。いくつかの関数は管理用です。自分で作成した関数には、規則に従った上で、任意の名前を付けることができます。しかし、パラメーターの引き渡しに関する一定の規則には従う必要があります。名前の付け方やパラメーターの引き渡しに関する正確な規則はプラットフォームごとに異なります。

の関数

少なくとも、管理用の関数 GetFunctionCount と GetFunctionData が存在する必要があります。これらの関数を使用すると、関数、パラメータの種類、および戻り値を判断できます。戻り値には、Double と String を使用できます。パラメーターには、Double と String 以外にも、Double 配列、String 配列、および セル配列 を使用できます。

パラメーターは参照として入力されます。そのため、基本的には値の変更が可能です。しかし、表計算プログラムにおいては適当でないため、LibreOffice Calc では値を変更することはできません。

ライブラリは実行時に読み込むことができます。このとき、管理用の関数を使用すると、ライブラリの内容を解析できます。どの関数でも、パラメーターの数と種類、内部関数名と外部関数名、および管理番号についての情報が使用できます。

関数が同時に呼び出されすぐに結果を返します。リアルタイム関数も可能ですが、複雑なためここでは詳しく説明しません。

インタフェース全般

LibreOffice Calc に組み込むことができるアドイン関数のパラメーターは最大で 16 個です。そのうちの 1 個は戻り値用で、残りの 15 個は入力用です。

データの種類は次のように定義されています。

データの種類

定義

CALLTYPE

Windows の場合: FARPASCAL(_far_pascal)

それ以外の場合: default (各オペレーティングシステムの標準)

USHORT

2 Byte unsigned Integer

DOUBLE

プラットフォームに応じた8バイトフォーマット

Paramtype

int と同様、プラットフォーム特有

double を指すポインター PTR_DOUBLE =0

ゼロ制限した文字列を指定するポインター PTR_STRING =1

Double 配列を指すポインター PTR_DOUBLE_ARR =2

String 配列を指すポインター PTR_STRING_ARR =3

Cell 配列を指すポインター PTR_CELL_ARR =4

NONE =5


関数

次に、 で呼び出せる関数について説明します。

すべての 関数には、次の規則が適用されます。

void CALLTYPE fn(out, in1, in2,...)

アウトプット: 結果値

入力:型 double&、char*、double*、char**、およびセル範囲 (数は任意)。セル範囲とは、倍精度、文字列、またはセルの配列のことです。

GetFunctionCount()

管理関数を含まない関数の数を参照パラメーターに返します。どの関数にも 0 から nCount-1 までの番号が付いています。この番号は、後でGetFunctionData関数とGetParameterDescription関数に必要です。

構文

void CALLTYPE GetFunctionCount(USHORT& nCount)

パラメーター

USHORT &nCount

アウトプット: アドイン関数の数が含まれている変数の参照。アドインが LibreOffice Calc に5つの関数を用意している場合は、nCount=5 になります。

GetFunctionData()

アドイン関数に関するすべての重要な情報を定義します。

構文

void CALLTYPE GetFunctionData(USHORT& nNo, char* pFuncName, USHORT& nParamCount, Paramtype* peType, char* pInternalName)

パラメーター

USHORT& nNo:

インプット: 0 から nCount-1 までの関数番号。

char* pFuncName:

出力: プログラマから見た関数名。つまり、 に指定されている関数名。この名前は必ずしも、関数ウィザード で表示される名前ではありません。

USHORT& nParamCount

アウトプット: アドイン関数のパラメーター数。結果値は常に最低1つあり、最高16まで可能なため、0 より大きい必要があります。

Paramtype* peType:

出力: Paramtype の変数が16個ある配列を指すポインター。最初の nParamCount 項目は、該当するパラメーターのタイプで埋められます。

char* pInternalName:

出力: ユーザーから見た関数名。つまり、関数ウィザード で表示される関数名。ウムラウトも使用できます。

パラメーター pFuncName と pInternalName は、LibreOffice Calc でサイズ 256 を実装した char Array です。

GetParameterDescription()

アドイン関数とそのパラメーターについての簡単な説明を提供します。この関数は 関数ウィザード で関数とパラメーターの説明を表示するのにも使用できます。

構文

void CALLTYPE GetParameterDescription(USHORT& nNo, USHORT& nParam, char* pName, char* pDesc)

パラメーター

USHORT& nNo:

インプット: ライブラリ内の関数番号 (0 から nCount-1 まで)

USHORT& nParam

入力: 説明を付けるパラメーターを表示します。パラメーターは 1 で始まります。nParam が 0 の場合、関数自体の説明が pDesc に必要で、この場合 pName は使用しません。

char* pName:

出力: たとえば、「数字」、「文字列」、「日付」といった名前やパラメーターの種類を取り入れます。LibreOffice Calc は char[256] として実装します。

char* pDesc:

出力: たとえば、「宇宙を計算する値」のような、パラメーターの説明を取り入れます。LibreOffice Calc は char[256] として実装します。

pName と pDesc は char 型の配列です。LibreOffice Calc はサイズ 256 で実装します。なお、関数ウィザード で使用できる空間は限られており、256 文字すべてを使用できるわけではないので注意が必要です。

セル範囲

次の表は、セル参照を入力するために、データ構造が必要とする外部プログラムモジュールを表しています。LibreOffice Calc は、データの型によってセル範囲を3種に分類します。

Double 配列

パラメーターに、数値/Double 型の値を含むセル範囲が指定できます。LibreOffice Calc では、Double 配列は次のように定義されています:

オフセット

名前

説明

0

Col1

セル範囲の左上端の列番号。0 から数え始めます。

2

Row1

セル範囲の左上端の行番号。0 から数え始めます。

4

Tab1

セル範囲の左上端の表番号。0 から数え始めます。

6

Col2

セル範囲の右下端の列番号。0 から数え始めます。

8

Row2

セル範囲の右下端の行番号。0 から数え始めます。

10

Tab2

セル範囲の右下端の表番号。0 から数え始めます。

12

Count

次の要素の個数。空白のセルは数えられず、引き渡されません。

14

Col

要素の列番号。0 から数え始めます。

16

要素の行番号。0 から数え始めます。

18

Tab

要素の表番号。0 から数え始めます。

20

Error

エラー番号。値 0 は「エラーなし」のために設定されています。該当要素が数式セルにある場合、エラー値は数式によって決まります。

22

Value

種類がダブル/浮動小数点の8バイト IEEE 変数

30

...

次の要素


String 配列

データの型が文字列であるセル範囲は、String 配列として指定されます。LibreOffice Calc では、String 配列を次のように定義しています。

オフセット

名前

説明

0

Col1

セル範囲の左上端の列番号。0 から数え始めます。

2

Row1

セル範囲の左上端の行番号。0 から数え始めます。

4

Tab1

セル範囲の左上端の表番号。0 から数え始めます。

6

Col2

セル範囲の右下端の列番号。0 から数え始めます。

8

Row2

セル範囲の右下端の行番号。0 から数え始めます。

10

Tab2

セル範囲の右下端の表番号。0 から数え始めます。

12

Count

次の要素の個数。空白のセルは数えられず、引き渡されません。

14

Col

要素の列番号。0 から数え始めます。

16

要素の行番号。0 から数え始めます。

18

Tab

要素の表番号。0 から数え始めます。

20

Error

エラー番号。値 0 は「エラーなし」のために設定されています。該当要素が数式セルにある場合、エラー値は数式によって決まります。

22

Len

次の文字列の長さ (最後の0バイトを含む) 。文字列の最後の0バイトを含めた長さが奇数値になった場合は、偶数値になるように0バイトがもう1つ追加されます。そのため、Len は ((StrLen+2)&~1) で計算されます。

24

String

最後に0バイトが付いた文字列

24+Len

...

次の要素


セル配列

セル配列を使用すると、テキストと数値を含むセル範囲を呼び出すことができます。LibreOffice Calc のセル配列は次のように定義されています。

オフセット

名前

説明

0

Col1

セル範囲の左上端の列番号。0 から数え始めます。

2

Row1

セル範囲の左上端の行番号。0 から数え始めます。

4

Tab1

セル範囲の左上端の表番号。0 から数え始めます。

6

Col2

セル範囲の右下端の列番号。0 から数え始めます。

8

Row2

セル範囲の右下端の行番号。0 から数え始めます。

10

Tab2

セル範囲の右下端の表番号。0 から数え始めます。

12

Count

次の要素の個数。空白のセルは数えられず、引き渡されません。

14

Col

要素の列番号。0 から数え始めます。

16

要素の行番号。0 から数え始めます。

18

Tab

要素の表番号。0 から数え始めます。

20

Error

エラー番号。値 0 は「エラーなし」のために設定されています。該当要素が数式セルにある場合、エラー値は数式によって決まります。

22

種類

セル内容の型、0 ==Double, 1 ==String

24

Value or Len

Type ==0 の場合: ダブル/浮動小数点型の8バイト IEEE 変数

Type ==1 の場合: 次の文字列の長さ (最後の0バイトを含む) 。文字列の最後の0バイトを含めた長さが奇数値になった場合は、偶数値になるように0バイトがもう1つ追加されます。そのため、Len は ((StrLen+2)&~1) で計算されます。

26 if Type==1

String

Type ==1 の場合: 最後に0バイトが付いた文字列

32 or 26+Len

...

次の要素